三十九番、楽園
討ち入りは年も迫った師走の昼である。
市場内のこの食堂では年内の仕事を終えたのか、
はたまた働いちゃいないのか、
様々な漢(おとこ)達がカウンターに並んで、ビール、サワーにホッピー、燗酒、冷酒
はたまた梅のお湯割りを呑み倒している、
そんなお昼の12時半である。
燦々と降り注ぐ日の光の下、赤ら顔で楽しく談笑する彼等。
入口に掲げられた「酔園」とはまさしく
酔っ払いの楽園、「酔いトピア」。*1
その隙間を小気味よく動くおばちゃんも、
曲がった腰でゆっくりと歩むおばあちゃんも
何時しかその割烹着姿が羽衣に
そして彼女たちが天女に見えてくる
そんな酔っ払いの楽園・・・
「酔いトピア」
はここに存在するのであった。*2
三十八番、禁断の品
旅館の板場に食堂くっつけちゃいました!!
と言う表現が一番わかりやすいと思われる。
旅館も兼ねて経営しているらしい。
さて、ならばここは天ぷらか?
はたまたお造りか?
と品書きを眺めていると襲いかかるその文字。
ふと目を上げれば、そこにも「あいつ」がいるのだった。
ここで万が一、焼き肉定食などに逃げれば
品書きを見た読者さんはきっと言うだろう。
例えるなら
あまた存在するアイドルグループの写真の中で「LADY BABY」のメンバー、
「 歌って踊って破壊する!「カワイイコア」パフォーマー。永遠の5歳。」
こと
「レディービアード」
を発見したにも関わらず、何も言わずにやり過ごす如き所業である。*1
LADYBABY「ニッポン饅頭 Nippon Manju」
それはさておき、
その「なまず」のお味といえば、思い出されるのはその姿である………
ヌメヌメと妖しく光るその肌が
熱い吐息に震える唇と
淫靡に蠢く舌の上で
出たり入ったりを繰り返し、
それによってそそり立ってビクビクと
生命の流動を感じさせながら
震える頭から一筋の糸が
滴り落ちるのであった………
あ、嗚呼…………
あ、嗚呼…………
・・・・・・・普通。
*1:わかりにくい
三十七番、妄想列車爆走中
実のところ、以前に一度すでに討ち入り済みではあったが、何となく
夜は居酒屋へと変貌しつつ、
地元のよくわからない刺繍の施されたスエット上下で
ツッカケの茶パツの夫婦と襟足だけ異常に長い
「狼カット」のガキンチョの家族が
運動会さながらのドンちゃん騒ぎな小上がり
(あくまで想像)
っぽい雰囲気だったので敬遠。
しかしながらいざ戸を開ければ昼限定の「お弁当」のコスパが素晴らしい。
己の妄想癖を今、心の底から恨んでいるのだった。
次回からは
酒焼けかガッサガサ声でぼっさぼさのパーマネントを振り乱し、
伸びた茶髪のせいで頭がプリンみたいになっちゃってる
変なワッペンが縫い付けてあるスエットで
壁に寄りかかって携帯をいぢっている娘を、
品のよろしくない「べらんめえ調」でがなり散らす母の横で、
煮つけと同じような顔色をした伸びたパンチパーマの
おっさんが焼酎をすすっている小上がり
がありそうな店も
一見にして「お仕事は?」という質問が
NGクエスチョンだという雰囲気を醸し出すおっさんが
呑み終わったビールグラスの横にさらに酎ハイグラスかつ
濁った梅干しのお湯割りをクラゲの酢の物かなんかをあてに
キメつつこっちに赤ら顔を向けTVに映った時事ネタをふってきて
「おまえもなんとかせいやっ!」
と突っ込みたい衝動をぐっとこらえなければならない昼時のカウンター
がありそうな店もすかさず討ち入ろうと決めたのだった。
三十六番、おふくろさんよ
神奈川の秘境、無人駅の真横にある知る人ぞ知る食堂。
下調べによれば書き入れ時は母娘二人で切り盛りし、その他はお母さんが一人で店を開けているという。
何たる母娘愛。
何たるアットホーム感。
店内には女性2人。
言われなければ母娘とはわからないが。
素朴ではあるが「キングオブおふくろの味」とも言うべき品々。
うう……。
また絵に書いたような丼ぶり飯。
白米は丼ぶりで「呑む」に限る。
う、ううっ………
サービスでかぼちゃの煮付けを頂きました………
う、ううっ………うまっ。
おっかさーんっ!!
さらに
サービスでホットコーヒーまで頂いちゃいました……………
う、ううっ…………………熱っ
ママーンッ!!
と駅前にそびえる山々に叫んで拙者は街へと戻って行くのであった。
三十五番、グンマー魂
今回は番外編。
不意に
「人気のない県に飛び込んでみたい病」
の発作に襲われ群馬県に突撃。
ちなみにここもしかり。
syokudouzamurai.hatenadiary.jp*1
「都道府県魅力度ランキング」にて最下位争いに随時食い込む・・・
「群馬県」。
(ちなみに上記の茨城県は2年連続ぶっちぎり最下位・・・)
そんな群馬のソウルフードを探すべく彷徨い歩きたどり着いたこの2品。
今度こそ本当の「リストランテ」である。
だって書いてあるじゃんっ!
「シャンゴ風」を頼む。
炭水化物におかずをライド・オンして一品とする日本の
「丼ぶり魂」
をまざまざと見せつけるかの如きこの一品。
さらに
「旅の恥は書捨て」
ならぬ
「旅のカロリーは切り捨て」*2
と言う己のルールに乗っ取りもう一軒。
グンマー*3なら知らない人も食ったことない人もいないらしい鶏の弁当。
登利平の「上州御用鳥めし」
www.torihei.co.jp
それがここ「高崎モントレー店」では弁当ではなくできたてのほっかほかで食せるのであった。
成敗してくれるっ!
「群馬の特徴」
- 駐車場が異様にデカい
- 美人が多い
- でもジャージ率が高い
三十四番、食堂につられて
カウンター席に湘南乃・・・風。
エグい大きさの「眞露」の横でタオルならぬ水割りのグラスをブンブン振りまわし………
ヤバくなれるのは誰…
俺!俺!
俺!俺!Ole!Ole!
Ah 真夏の Jamboree
レゲエ<砂浜<<Big Wave !!
Ah 悪ノリの Heartbeat
めっちゃゴリゴリWelcome Weekend
Ah 灼熱の Jamboree
暴れまくってイイぜ !!
Ah 冷めないで Summer Dream
「酔ったまんまでイッちゃって!!!」
会計だぜ (Yeah !!)
定食 (Fuu !!)
ワンタン (Yeah !!)
880円 (Boo ↓↓)
………………だめだこりゃ。
三十三番、どんぶりでプリーズ
地元に根付いたスーパーの駐車場にあるこの建物を食堂と気づいている人が何人いるのかがだいぶ疑問である。
写真を見るからには確実に「食堂」と認識できるが、立地条件と建物のそのコンパクトさからか一見、
「たこ焼きとか大判焼きとかの軽食を売る店舗」
と誤認してしまう感じの店である。
討ち入りでござる。
限りあるスペースにみっちりと客席。
夜は「元気ハツラツ居酒屋」と変貌しそうな内観である。
昼は真っ暗。
これまた厨房も限りあるスペースにところ狭しと並んだ器具から繰り出されたアジフライ定食。
サックサクかつ
頭、中骨までパリッパリ。
手が込んでいらっしゃる………
外観を吹っ飛ばす味とコスパ。
嗚呼。
茶碗が小ぶりでお替わりしようにも奥さんがどん引きする回数をこなしてしまいそうな
「白米至上主義」
の拙者が怖い。