三十九番、楽園
討ち入りは年も迫った師走の昼である。
市場内のこの食堂では年内の仕事を終えたのか、
はたまた働いちゃいないのか、
様々な漢(おとこ)達がカウンターに並んで、ビール、サワーにホッピー、燗酒、冷酒
はたまた梅のお湯割りを呑み倒している、
そんなお昼の12時半である。
燦々と降り注ぐ日の光の下、赤ら顔で楽しく談笑する彼等。
入口に掲げられた「酔園」とはまさしく
酔っ払いの楽園、「酔いトピア」。*1
その隙間を小気味よく動くおばちゃんも、
曲がった腰でゆっくりと歩むおばあちゃんも
何時しかその割烹着姿が羽衣に
そして彼女たちが天女に見えてくる
そんな酔っ払いの楽園・・・
「酔いトピア」
はここに存在するのであった。*2