半田屋
なんせ安い。
とにかく安い。
四十五番、一期一会
スナックのようなこの屋号。
大学が近いこの学生街にその食堂はあるのだった。
故にリーズナブル。
かつボリューミイ。
学生さんのお腹を満たすその心意気。
これこそ「食堂魂」の真髄と言えよう。
真冬だというのにTシャツ短パンの、見るからに格闘体育会系の学生、
末は学者かと思わしきとってもアタマの良さげな学生、
この後はサークルのコンパが待っていると思われる華やかな学生……
が皆次々と飯を掻っ込むその姿の横で
全く溶け込んじゃいない
「おっさん」
が飯を食らうこの情景………。
まさにここ「であい」での
奇跡の「であい」
と言えよう。*1
*1:都内で発見されたチンパンジー並に完全に浮いていた事は言わずもがなである(泣)
四十四番、己の嗅覚を信じて
「食堂」という括りではないと拙者は以前から感じていた。
確かに屋号は庶民的ではあるが、建物の醸し出す雰囲気は食堂を感じさせないのであった。
だが知人が是非と、討ち入りを勧めて来るが故、いざ戸を開いたのである。
たのもぉーっ!!
目の前で繰り広げられる…………
黒ずくめの衣装に身を包んだ団体……………
そう。
拙者は知っている。
この「集い」を知っている。
それは。
「ご法事」
や、やはり…………
食堂にあらずっ!!
四十三番、酢豚のパインは許せる
リーズナブルな昼食時に掲げた品書きの中で、
「酢豚」
と言う最も手間がかかるであろう一品を注文してしまう店主泣かせの「食堂侍」です、こんにちは。
「人でなし」
「鬼畜」
「f★k✘*g※a○su✪h」
などと罵られようとも致し方あるまい。
だって食べたかったんだもの。
豚肉に衣をつけて揚げ、
その他野菜も素揚げ。
餡を作って合わせて、
からの定食のスープも今調理っ!?
ご主人、ありがとう。
その労働力、ありがとう。
お一人でこのお店を………
と思いきや、二階から洗濯物を抱えて
おかみさん、出番ですよ!!
※ちなみにこの酢豚にパインは入っていません。
四十二番、文化遺産
趣のある、とか
ノスタルジー、とか
歴史を感じさせる、とか
そんな表現が安っぽく感じさせる、
「歴史的重要文化財」
と見間違うほどの建物。
これまた山間の無人駅な上、suicaもPASMOも使えないそんな駅の小さな小さな商店街にその店はあるのだった。
引き戸を開いたその刹那、タイムトリップをしたかのような感覚が拙者を包み込んでいく
時代を感じさせる品々に迎えられ
かと思いきや………
ズン
ズン
ズン
ズンドコ
である。
どうやらお母さんはガチガチの「ズンドコ・マニア」らしく、ところ狭しときよしグッズが飾ってあるのでした。
ちなみに定食はなくてカツ丼が有名。
ちなみに「開花丼」とは豚肉と卵、要するに他人丼との事。
梅の観光地からののネーミングなのである。
四十一番、恋の食堂シート
夜更けの灯りの落ちたその店の、
カウンターに一つのスポットライト、
独り飯を食らう淋しき男のその背中・・・。
夜な夜なそんな哀愁を感じさせる姿を見せる店があるとの情報を入手。
いざ討ち入りでござる。
その店内の趣き。
また店主の佇まい。
目玉焼きの硬さを聞く、そんな人柄を感じさせる丁寧な接客が洋食店を感じさせるのである。
なのにこの屋号…………
おっ……おっ………おっ……………
おさむちゃんでーす!!
と登場し、オタマをマイク代わりに
「イタコのいたろう」
とか歌ってくれると思ってたのにっ。
店の隅に置かれた看板には店主のプロフィールまで書かれている………
マジメかっ!*1
*1:マジメは素晴らしい事です
四十番、皿の上の遊園地
野に咲く花のようにひっそりと、それでいて逞しく生きていこう。
と思ったのかどうかは分かり得ないが、薬局かラーメン屋かと思わせる
その屋号のアウトオブラインぷり。
からの、この外観。
からの食品サンプル。
看板メニューと思われる、たんぽぽ定食のプレートは(鉄皿ですが何か?)
コロッケ、エビフライ、まさかのまぐろブツ(皿なのにバランで仕切られてますけど何か?)、
さつま揚げ(ハンバーグに似て見えてますけど何か?)
などなど.......。
これぞ「バラエティー・プレート」といった様相。
「定食の遊園地やぁ」
とか言ったとか言わないとか。
からの隣のおっさん昼からひや酒。
一点の曇り無し。